前編では『我が家の長男が6年ほどマイクラをやってきたところ、こんな教育的価値があることがわかった』という内容を要点のみでお伝えしました。
今回は、その内容についてもう少し詳しく紹介したいと思います。
我が家が考えるマインクラフトの教育的価値
数に強くなる
マイクラの世界では建築物などに大量の物資が必要になります。
どれがどのくらい必要なのか、数的感覚が養われます。
- 冒険に出るために十分なアイテムを持っているのか
- それをつくるためには材料はいくつ必要なのか
計画と実行を繰り返す中で、あらかじめ計算して資源を集めるほうが効率的だから、計算をしようという思考に自然になります。
うちの長男は、頭の中で足し算を繰り返すうちに、九九を習う前に九九の計算を全て暗記してしまっていました。
ハッパロクジュウシと語呂で覚えずとも、単に8×8=64だと自然に覚えてしまっているのです。
座標感覚が養われる
マイクラはデバッグ画面(ゲームプログラムが使う内部的なデータ)を、いつでも表示できるようになっていて、自分の位置がxyz座標で表示されます。
- 建築中 → ブロックを配置する座標
- 冒険に行く → 目的地の座標
こういった座標を意識しながら、ゲームをすることが普通になります。
例えば、
鉱石の採掘場所と村を線路で結ぶためには、X方向に300離れているので300の線路を作りたい
・動力源になるブロックはいくつ必要なのか
・それらを作るためには鉄鉱石がいくつ必要になるのか
など、常に位置と物質を定量的に意識しながらプレイします。
難しく書いていますが、こどもは勉強だと思わずにゲームだと勝手に難しいことをやってのける能力を身につけてしまうようです(笑)
図形、幾何に強くなる
マイクラの主な要素に建築があります。
1m x 1mの様々なブロックを組み合わせて好きな建物がつくれます。
レゴブロックが無限にあると考えればわかりやすいですね。
建物をつくるには少なくとも図面をイメージしなければなりません。
例えば
高さ6で横に20の壁をつくるには 6 x 20 = 120 のブロックが必要。
→面積の概念
10 x 10 x 10の水たまりを埋め立てるのに必要な砂ブロックは10の3乗で1,000。
→体積の概念
1次元の量を表す線、2次元の面、3次元の量こういった感覚が身に付きます。
また、好きな建物を建てたり、動画で見た建物を再現したり、造形的なセンスや美的感覚も養うことができます。
巨大な建築物を家族や友達と協力して作り上げるという体験からは、大きな達成感が得られるものです。
電子回路の基礎が学べる
レッドストーン回路というゲーム内の論理回路をつくることができます。
例えばスイッチを押すとドアが開くといった単純なものから、ブロックを生成し続けるような自動化装置までアイデア次第で様々なものを作れます。
AND, ORなどの演算子や、ダイオードやコンデンサーのように振る舞う素子などをブロックを使って作ることができるので、子供用の入門回路キットを買うくらいならこれを試す方が安上がりで、拡張性は無限大です。
また、コマンドブロックというコードを内蔵できるブロックも実装できます。
マイクラ内のコマンドを学習すれば自動生成や、自分の決めたルールを持ったゲームを作ることも可能です。
マインクラフトの世界でプログラムを書いて実装することができるわけです。
回路なんて難しい。親が教えられないと無理でしょう。と思ってしまいそうですが、うちの息子は上手にやっている人のWebサイトや動画を見て、そっくり真似して作り込むうちに仕組みを理解して、自分なりの応用装置を作ることができるようになっています。
後でも話しますが、こどもは自分で学習できるのです。そして、その方が身につく!
計画を立ててから実行する術を学べる
マイクラは、ゲームの目的ややるべきことが決められていないので、何を成し遂げたいのか、そのためには何が必要なのかを全部自分で決めることになります。
楽しいとされていることが決まっていてそれをなぞって満足する、あるいはやるべきことをやらされるという態度ではなく、自分で計画して自分で楽しむという態度こそが自立的で満足感の高い人生を送る糧になるというのは、たかがゲームの話としては大袈裟でしょうか。
共同作業、コミュニケーションが学べる
マイクラは世界中に様々なサーバーが立っていて、マルチプレイが楽しめます。
もちろん家庭内のネットワークで協力プレイも可能です。
・公開サーバーリスト(日本)
https://minecraft.jp/
冒険にしても、建築にしても、他の人と役割分担したり、共同作業をするためには、リーダーシップやコミュニケーションが欠かせません。
現実に目を向けると、もはや個人単体で成し遂げられる仕事というのは多くありません。
専門家が集まり、チームでプロジェクトで回していく仕事が増えているのではないでしょうか。
プロジェクトの中で成果を出す能力は、実際にチームを組んでプロジェクトを何度も繰り返した経験値と比例するように思えます。
日本の教育ではこういったことは大学で研究室に入るまでほとんど学べません。
ゲームでの協業を入り口にして、個々の得意なことを生かして学外のワークショップ参加などにつながっていけば、学習の幅やコミュニティも広がっていくと思います。
自分で調査し、学習し、それを応用する
マインクラフト(Java版)にはModという要素があります。
Modを追加することによって、全く違うふるまいをする新しいゲームとして楽しむことができるのです。
コンピューターゲームがメジャーな欧米では、一般的に行われています。
マイクラはYouTubeやSwitchなどの動画サイトにもたくさん実況動画がアップされていますが、そのうちの多くは「Modをやってみた」というタイプの動画で、それを見ていると絶対に試してみたくなります(笑)
普通は使えない素敵な家具や武器、新しいルール、人気漫画を模したもの(鬼滅の刃Modもありましたよ)など、さまざまです。
これを配布ページから探してきて、自分のフォルダにコピーして実装して試します。
難しそうだと思うかもしれませんが、こどもの吸収力というのはすごいもので、小学二年生のこどもが自分で検索から導入まで全部やってます。
もはや私は理解不能。でもすごいことはわかる。。
他人の成果を調べて、興味を持って、試して、そこに自分なりのアレンジを加える。
そしてそれを公開する。
そこまでは、もう一つハードルが高いですが、結局これは研究や開発の流れそのものですよね。
オリジナルの要素を加えて公開するというところまでいけば、それは学会発表や論文を書くことであったり、教科書を書くということと同列に考えられると思います。
主人いわく、「こんなModを自分で開発して、これだけのユーザーがプレイしていますといった実績を見せるだけで、ゲームメーカーに就職できるだろう。それくらい実践的なこと。」だと。
英語がなんとなく読めるようになる
最初こどもにプレイさせるときに、言語設定をEnglishにしておくことをお勧めします。
うちの子が英単語を自然に読めるようになったのは、まさにこのおかげだと思っています。
また、Modや回路の情報の多くは英語サイトにあるので、英語でゲームをやっていないとテキストが読めなくて苦しむこと必至です。
世の中の多くのドキュメントは英語なので、こどもの時から英語を読めなければ話にならないのだという意識を植え付けることはとても重要だと思います。
どうしてわけのわからない言語を学ばなければならないのかと思うのと、言語を知っているともっと多くの知識が得られると知っているのとでは、学習意欲が変わってきます。
いったん自分は他の子よりも英語ができると思ってくれれば、外国語に対する拒否感はなくなります。
英語の動画であってもそこに自分が欲しい情報があると思えば、わからなくても根気よく解読しようとするものです。
まとめ(こどものゲームにはマインクラフトがおすすめ)
以上、長々と書いてきましたが、いかがだったでしょうか。
集中していることはよいこと
マインクラフトは、個人で研究する部分と、それをマルチプレイで披露したり、協業できる部分を両方備えているので、現実世界においてチームで仕事のプロジェクトを回すシミュレーターになるといっても大袈裟ではないのかなと思っています。
また、社会で活躍するには、単にチームプレイに長けているだけでは不十分です。
個人の力を向上させ続けなければなりません。
そのためには興味を持ったこと、あるいは必要なことをとことん集中して学習する姿勢が大切です。
それは誰かに教えてもらうというよりも、机に向かってずーっとこもっていられる能力です。
集中しているときは、少々ゲーム時間を過ぎても大目に見ましょう(笑)我が家の男性陣いわく、「1時間では何もできない!」だそうです(汗)。
親が助けてあげるポイント
以下のようなところは、親が関わるポイントかなと思いますので、参考に。
マイクラをやればすべての人にこういう効果があるだろうというものではなく、継続してやり続けた結果(我が家の場合)です。
とりあえず、マインクラフトを始めてみるだけでも、しばらくすると「数、座標、図形」のあたりは感覚的なものが身についてくると思います。
そして!できれば言語をEnglishに設定するのをお忘れなく。。。
最初日本語にしてしまうと、そこからEnglishにするのはほぼ不可能です(笑)
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